8日(土)まで渋谷のPARCO劇場で上演されていた三谷幸喜さん作・演出のお芝居「大地(Social Distancing Version )」を観てきました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、東京公演は上演期間が変更になり、さらに入れる観客の数を減らして、一度チケットが払い戻しとなってあと再度チケットを販売。大泉洋さんファンとしては、絶対に観に行きたい!ただでさえ三谷作品でもあり人気・実力のある俳優陣でもあるので、さらにチケット獲得が難しくなりましたが、なんとかチケット当選しました。

東京都では、新型コロナウイルスの陽性者数がまた増えてきていて「本当に外出できるだろうか」と当日の朝まで心配しながらの、外出となりました。電車に乗ったのは1カ月以上ぶりでした。

舞台は緩やかに後ろに向かって高くなっていく傾斜がついています。この傾斜のおかげで、舞台後ろが定位置の役者さんたちもよく見えます。そして舞台には通路による区切りがあり、区切りそれぞれにベッドがあります。このベッドが、役者のみなさんの「定位置」になります。役者さんたちの出入りはありますが、ソーシャル・ディスタンスを保つ演出の工夫がなされています

観客はマスク着用、入り口で検温と手指アルコール消毒と足裏消毒のうえ会場入りします。席は1つずつ開けてあるので空席が寂しいものの、長時間座っているのにはこの距離が安心を与えてくれたりもします。マスク着用している観客は、舞台からはどう映るのでしょうか。

このお芝居では、とある独裁政権下で反政府主義者とみなされ収容所に送られた俳優たちが、演じることを禁じられたなかで集団生活を送っています。

抑圧された毎日で先が見えない苛立ち。これもいつかは終わるはずだという希望と、自分の力ではどうにもならないと諦めにも似た想い。自分だけでもなんとか少しでもいい環境に、あるいはこの状況から抜け出せればという欲もあれば、お互いを信頼し、好意をいだいて一緒にいるわけではないけれど、共同生活者のために知恵を出し合って協力もする。そこにあるのは「共同体」でした。

役者たちは、脚本があって観客がいれば演じられる。芝居を含め娯楽や芸術は、不要不急のものと言う人も多いかもしれないけど、これで食べている・生きる意味を見出している人たちがいる。芝居を観るために辛いことも我慢しながら働いて稼いで、舞台を観に行くことを生きる楽しみにしている人たちがいる。芝居の幕が上がることを楽しみに、あるいは生きがいにしている人たちはたくさんいるのです。「やっぱり、お芝居は、舞台は、芸術は必要だ!」と、思わせてくれた作品でした。

ステイホーム、公私で大切な人たちとの会食や旅行の自粛、仕事・収入減、先が見えない感染拡大状況など、いつかは終わるだろうけど先が見えないなかで諦めたりもがいたりしている自分の状況と重ねながら観ました。希望を持てたわけでも明日からどうしたらいいかがわかったわけでもありませんが、でも「この状況は、いつかは終わる」と、いわば「うん」と小さく、でも強くうなずきながら劇場を後にできる作品でした。

台本を書いたのが去年という三谷さん。「なんという先見の明だろうか」と自画自賛されています(笑)
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大泉洋が“現実的で大人しい”!舞台「大地(Social Distancing Version)」先行公開  

山本耕史さんがステイホーム期間中にさらに筋肉を育てたらしく、上半身裸出てくるシーンを追加したとか?
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山本耕史が鍛え上げた“筋肉美”は台本も変えた!? 舞台「大地」公開で三谷幸喜・大泉洋・山本耕史に独自インタビュー  

たしかに大胸筋がムキムキ動く(これでギャグも可能)のですが、それよりも後ろ、肩甲骨のあたりから肩・腕に向かう筋肉がモリモリで、そちらの方が驚きでした。もう少しで「え?」と声が出そうでした。

大泉さんは、この舞台とテレビドラマ「ハケンの品格」の撮影が重なり、超多忙な毎日でした。「大地」でも、セリフ量もさることながらとても重要な役どころを担っていて、本当にお疲れさまでした、と舞台から大きな拍手を送らせてもらいました。

もちろん、役者さんたちや裏方さんたち全員に拍手を送りました。この時期自分たちがコロナにかからないようにと、自己管理にはいつも以上にピリピリされたと思います。そんななかで、観客がお芝居を楽しめる環境をつくっていただいたことに、感謝です。

扱っているテーマは決して楽しいものではないのですが、随所にクスクスからゲラゲラまで、さまざまに笑える場面がちりばめられています。「アドリブなのかな?」と思うシーンもあり、役者さんが「本当に」笑ってしまっているようでした。

8月12日(水)からは大阪公演もありますので、無事に幕が上がるよう、そして、そこにはいつもより少なくせざるを得なかったけど、確実に「いる」観客のみなさんが楽しまれますよう、お祈りしています。

最後に。今回、東京公演の何回かはストリーミング配信もされていました。私は劇場に行く前に一度ストリーミング配信も観たのですが、ストリーミング配信では休憩時間に三谷さんが役者さんにインタビューをしている様子が流されていました。これが、どうやら毎回同じではなかったらしいのです。この休憩時間のインタビューを、どこかでまとめて見せてほしい!と思います。大阪でもストリーミング配信があると、さらに多くの人たちが観られるのですが、どうでしょう。。。